ユノーののろけ その2

| 進む | 目次
 プロンテラの南西、旧剣士ギルドに近い隅の方に古いアパートメントがある。
 築数十年の住宅で外壁も内装も古臭く何より壁が薄い。
 それでも、トイレとシャワールームは各部屋にある上、王国の首都にある割には家賃も破格だ。

 僕が借りている部屋は、ベッドにちょっと大きめのテーブル兼書物机。あとは予備の椅子と本棚とクローゼット、キッチンには小さな食器棚がある程度。
 狭いながらも過ごしやすい場所だった。

 狩りで汚れた衣装を脱ぎ、脱衣所に放り込む。
 臨時に飛び込んでの久々の支援は楽しかったけど、やっぱり切り傷擦り傷、自分や他の人の血やあるいはモンスターの体液で汚れてしまう。
 アークビショップの衣装は乾きにくいから嫌いだ。

 浴室に湯を沸かし、一度解いた髪を更にまとめ上げる。
 それから落とさないように気をつけてチェーンを外し、机の上に置く。
「……やっぱり嬉しいね」

 ちょっと前に大好きな人からもらった、名前入りのロザリーと指輪だ。
 もらった日から、入浴と就寝時以外、基本的に外すことはない。
 本当は一時も離さずに身につけていたいけど、何かの拍子にチェーンが切れたら悲しくなるから、外すことにした。

 転生祝いにと、ずっと昔両親からロザリオを送られたことがある。
 綺麗な細工の施されたそれは確かにお気に入りだったけど、代わりの物を得たから、今は机の引き出しにしまっている。
「明日は会えるかなぁ」
 十分温まっただろう浴室に向かいながら、小さく呟いた。


-----------------------------

2012/12/20
| 進む | 目次
Copyright (c) 2020 All rights reserved.
 

-Powered by HTML DWARF-