キーダルフはレクナー大陸の中でも、五指に入るほど大きな街だった。 冒険者の街と別名で呼ばれる程、冒険者たちの姿とそれに関する店やものを見ることができる。 街は中心に噴水広場があり、そこから東西南北にメインストリートが延びる。 大まかに分けて街路の北方は食料・雑貨を、南は衣料雑貨、西は冒険者向けの武具や道具などを、東には宿屋や料理屋を中心として各店が展開されている。 その東側は海に面していて港として賑わい他大陸との交易や行き来が盛んだった。 >>>抜き出し 北は騎士団、南は自警団の詰所あり。 港のある東は海神神殿もある。 西は魔術師組合と地神神殿。 |
親友たちから子守を頼まれたときは正直途方に暮れた。 こっちは実年齢六百近いのに八歳の子の面倒を見ろ、だ。無理に決まってる、と思った。 ただこの村にチビ共と遊べるような子供はいない。一番近いのですら二十代半ばだ。 そのなかで見た目だけならば一番近いのが、あの頃からずっと変わらぬ外見の俺だけだった。見た目だけなら、それこそ十七、八といっても通じただろう。 だから名前をD.Dと偽って、両親の友達の子供だと言って、彼らの遊び相手になった。 子供は双子だった。 兄のほうはソルという名前で、両親に良く似た青見がかった銀髪に赤い目。いたずら好きで好奇心が旺盛で、そして負けず嫌いな子供だった。 妹のほうはソレイユという名前。おとなしくて八歳と思えぬほど気遣いを見せる。灰色の目と髪の魔力無しと呼ばれる……生まれつき魔力を持たない子供だった。 双子を連れて裏山に登ったり、森を駆けまわったり。雨の日には書架の本を呼んだり……もっと大きくなってからは、ソルに剣を教え、ソレイユには体術を教えた。 魔法を使うには魔力と構成力と呼ばれる力が必要だった。 構成力でもって魔法の発動に必要な式を構築具現化し、それにそって魔力を流すことで発動する。 ソルは魔力を持っていたけれど構成力を持たず、ソレイユは構成力こそ眼を見張るものがあったが魔力は欠片すら持っていなかった。 もしも二人がそれなりの魔力と構成力をもった子供だったら、きっと様々なことが変わっていただろう、か。 |
サンテラス所属冒険者キリエと、幼い依頼者の話 つづくよー・・・ * * * 街を歩けばすれ違う可愛らしい少女たち。 髪を真っ赤なリボンで結んだり、流行りのレースが袖口を飾る服。足を飾るのは、踵少し高いヒール。 どれをみても羨ましいなんて思いながら、キリエはその店を目指していた。 キリエは、自分のことを良く知っていた。 他人から見て美人或いはかわいいに分類されること自覚しているし、鏡に写る自分がとても綺麗だとも思っていた。 肩より少し長い金髪は癖もなく、手櫛ですけば絡まることなく流れる、両の瞳はよく晴れた空の色。背も高くすらりとした手足は良く仲間たちからうらやましがられた。 両親もそしてただひとりの姉も美しく、家の女たちからあれこれとドレスなどを着せられたせいか、キリエは女の子らしい格好にあこがれを持っていた。 残念なのは冒険者という職業柄、常時その格好で過ごすことが出来ないこと。 それから女性と言うには身長も高く、そこまで低くはないけれど明らかな男声ということ。 キーダルフの中央、人々の憩いの場である噴水広場から西に伸びる通りを行けば、月夜の宴亭の看板が見える。 木製の看板には月とそれに向かって吠える狼らしき動物の影、それからフォークとナイフの絵が描かれている。その看板からぶら下がるのは、片翼の鳥が織られた飾り布だった。 片翼の鳥は冒険者組合加盟の酒場であることの証。 それを視界の隅にとどめながら、キリエは酒場の扉をくぐったのだった。 この大陸レクナーに、冒険者組合が出来てからまだ二百年と少ししか経っていない。 それ以前にも今の冒険者と似た様なことをしている者たちはいたものの、統一された規律もなく、そこらのゴロツキと同じような扱いをされていたようだった。 発祥の地はここより東の大陸ストラルだという。 そこでは、ずっと昔から、一定の秩序のもとに |
魔法と信仰関係。Twitterから救出 「眼に見えない何かの力を利用して発動する不思議な力」を全部ひっくるめて「魔法」とまとめている。 そのため、神の力を借りる神官たちも「魔法使い」に分類される。 ただし一般的には「魔法使い」と言えば、魔術師と魔導師を思い浮かべる人が多い。 魔法使いの内訳は、 魔術師・魔導師・呪術師・精霊術師・召喚(召還)師・神官・癒し手 の7つに分類される。 *神官と癒し手(ヒーラー)とその信仰対象 神官と癒し手も混同されている。 信仰対象に仕えている者と対象から力借りる者を神官と呼ぶ。 神官の中でも治癒や退魔、支援を行える者が魔法使いに分類され、特に治癒術を扱う者がヒーラーと呼ばれる。 癒し手は、信仰の有無に関わらず触れるだけで傷を癒すことができるが、大抵神殿に引き取られるため、神官と呼ばれていた。 本来の<癒し手>は、後者のこと。 神官の信仰対象は、(善悪含む)神、天使、竜、精霊。 ・創造神五柱 世界を創造したのは太陽・月・地・海・火を司る五柱。火神のみ「悪」とされ、他は善神。女神は月と地。 太陽神リザーブはククロル大陸全土で信仰されている。 かつては月神ティアもククロルで祀られていたが、今では忘れられ、中心地はフィアセラとなっている。 地神・海神・火神信仰はレクナー大陸が中心、一部ストラル大陸を含む。火神は森の住人たる魔王たちの信仰対象。 ・天使信仰 有翼人種フェザーウォルクとは違う月神の使いとされるのが天使。 天使は9体おり、フィアセラ各地の祠で月神と一緒に祀られている。 名前は呼べないため、太陽・月・星・地・海・水・火・空・風というように呼ばれる。 ・竜信仰 竜信仰が根付いていたのはククロル。現在の太陽神教会が勢力を伸ばすまでは、各地で祀られていたが排除されていた。 その名残で竜の名が付けられた村や町が存在している。 鱗の色から、白・黒・青・赤・緑・黄の色の名で呼ばれる。 種族としてのドラゴンも存在するが、彼らとはまた別の存在。 ・精霊信仰 ストラルで広く信仰され、大陸7箇所に祀られた祠が存在する。 火・風・水・土の四大属性と、光・闇を司る精霊と、それらを纏める精霊あわせて7精霊。 世界中に精霊は存在するが、信仰対象としてはそれらすべてひっくるめて。 世界を創造したのは五柱の神で、その下に仕える形で竜・天使が存在し、彼らと並ぶ形で精霊が存在する。 神は世界を見守り、竜と天使は厄介ごとに積極的介入、精霊は使役されない限り傍観。 *召喚(召還)師と精霊術師 同世界・異世界から精霊や何かを呼ぶのが召喚師。呼び出した、或いは迷い込んだ精霊や何かを元の場所に帰すのが召還師。 どちらかができればその残りもできるので、だいたい召喚師呼ばわり。 召喚師が呼び出せるのは、同じ世界(分断時代の異界)と異世界の生き物。 ただし 同じ世界<越えられない壁<異世界 と難易度は高く、有史以来異世界より召喚が成功した例はない。 同じ世界で呼べるのは、精霊を筆頭に魔物や、相手が承知すれば竜や天使など。 召喚したものにたいしてできることは、力を貸してくださいとお願いすること・名前で無理やり従わせることのふたつ。 自分より対象が格上の場合は前者、格下は後者になる。 召還師ができることは、召喚されたものをもとの場所にかえすこと。 格上の場合は同意が、格下の場合は強制的にかえすことができる。 異世界からの来訪者は、召喚されたのではなく迷い込んだパターンが多い。 精霊術師は、精霊の力を借りる。 術、は法則にしたがってプログラム組んで走らせる。導、はプログラム組んだ状態に書き換える 朝の続き。魔法発動に必要なのは、魔力、構成力と意志。こっちだっけ… 構成力でプログラム組んで、魔力でそれを動かす。構成力があるほどより簡素な、あるいは複雑なものが組める。組み方で必要魔力がかわったりとか。 プログラム組む→起動の手順を、導以外は呪文だとか歌だとかで行う。その手順を省略できるのが癒し手と導。こうしたいな、でできる 両方できたのははじまりだけ。本当ははじまり以外もできるけど、魔法はこうじゃないと使えないていう思い込みでできなくなった 術組でも、絶対〜してやる、みたいなので意図せず使ってることもある。再現しようにも使えないからマグレ扱い。登場人物はほぼ術組だけど、魔女は薄々気づいてる。弟子は導組 というのをブログに投下すりゃいいんだがパスとかわすれた(^O^) 魔女は弟子が術だと思ってたけど違うから指導に悩めばいい。知ってる導組が人外ばっかりなうえ敵対してたりとか 無動作で発動直前まで行える導のが有利で、術教えると使えなくなる可能性があるから手を出せない。けど敵対してるしとか。基礎固めたあとなら術もやれないことはない |
親から贈られた名前は修司、名字は山本。日本という国で生まれ育った。 厳しくも優しい両親と、頭も良くて愛嬌のある2つ上の兄。それからやっと3つになったばかりの愛らしい妹に囲まれた日々は、とてもすばらしいものだったのだろう。それはもう、取り戻せない遠い日のことだった。 その日のことは決して忘れない。 10歳の誕生日を迎えて10日経った日。9月17日のことだ。学校の帰り道、家まであと5分といったところで、ぐらりと地面が揺れる。地震だとわかっていたし、どうせ小さいものだろうと思っていた。けれどその揺れは収まるどころかさらに激しくなり、立っていられなくなりついにはしゃがみ込んでしまった。キーンという甲高い音が聞こえて、視界も真っ白に染まっていき、そこでぷつりと記憶は途切れていた。 気がついたときには見知らぬ場所のベッドの上だった。てっきり、病院に運ばれたのだと思っていたが、どこかで違うという声も聞こえてた。そして部屋に入ってきた男の姿を見て確信した。 金髪に緑の瞳。最初はアメリカ人とか外国人を想像したけれど、話す言葉はテレビで耳にする英語とはどこか違うように思った。 地図らしきものをみせられて、絶望したことも覚えている。ランドセルからひっぱりだした地図帳に載っている地形とは一致するものがなかったのだ。 それはお互いだったのか男も困ったような表情で、「いすたーしゃ」と呟いていた。 イスターシャ……それはよその世界からの迷い人という意味だった。 真剣に生活がかかっていたし、子供だったから、ということもあるんだろう。日本で暮らしたのと同じだけの時間を経た今でも自信のない言葉は多々あるが、男といっしょに、言葉を学んで1年経つ頃には、日常生活に不自由しない程度の言語は身に付いた。 最初は、遊びから始まった。 男は己を指さし「ゆりす」と言った。それに対して「しゅうじ」と答える。 そこから、例えば猫らしき生き物を、男は「しゃーら」と言い、それに「猫」と答える。「犬」は「ふぇりあ」、「水」は「えるせすた」、「火」は「ふぃえすた」というように。 それが終われば次は会話。 「うぃあーず、なーる、ゆりす」 「うぃ」は「私」、「なーる」は「名前」、「ゆりす」はユリス自身の名前を指す。「あーず」は、たぶん「てにはを」のどれかだ。正直今もわからない。 一人称の「私」にあたるのが「うぃ」、あなたを意味するものが「ひゅ」、あなたたちで「ひゅーず」というようで、それさえわかればあとはなんとでもなった。 異世界と呼ぶにふさわしいこの世界で暮らし始めて十年とすこし。その間衣食住の全てと言葉の面倒を見てくれたのは、「ユリス」という名前の男だった。 |