<実験>に関する一連の事件について
エスタリオル歴234/02/10
報告者:ソレイユ・レヴィウスアーク
E234年2月、クレイグ・ユークリッド率いる組織に引き起こした一連の事件報告。
・事件概要
E234年レクナー大陸南部の町キーダルフを中心に、クレイグ・ユークリッド率いる組織により人を使った違法かつ残虐な実験が実行される。
魔術才能を持つ子を集め人工的に強大な魔力を持つ魔術師を作ろうとした疑惑あり。
冒険者個人ギルド・職業組合の協力のもとクレイグ殺害、マーリアは自害となったものの、ケイシーを捕縛。
また、施設は破壊し、関係資料も概ね回収後破棄された。
・関係者
組織側
クレイグ・ユークリッド。ストラル魔術師組合所属、上級二位魔術師。首謀者。救出部隊に被害拡大の恐れがあり殺害。
ケイシー・マクレイン。同上、中級一位魔術師。投降したため捕縛。
マーリア。レクナースフィスのディエズ神殿所属神官。捕縛直前に薬物により、自害。
被害者
少年Wをはじめ、5-20歳までの少年少女20名。ただし生存者は8名。
救助側
職業組合:冒険者、魔術師、剣士、自警団、盗賊。
個人ギルド:サンテラス、ルシエル、星のしずく。
234/02/03
キーダルフ冒険者組合加盟の店:月夜の宴亭に少女が駆け込む。
Mと名乗った少女は、クレイグの研究施設(以下施設)より逃走したと説明。
店主と店に居合わせた個人ギルドサンテラスのメンバーにより、少女は保護された。
同日、店主エグゼクトとサンテラスマスター:エストの連名でキーダルフ冒険者組合、
自警団、騎士団、魔術師組合に調査・警戒依頼を発信するも、証拠不足で動けないと返答有り。
234/02/04
少女に聞き出した施設にエスト潜入、証拠と成り得る資料を奪い帰還。
エストは再度調査のために潜入。その間ソレイユは証拠を提示し協力要請。
ただし騎士団からは正式に動けないとの返答。
234/02/05
エスト帰還。施設の簡易地図とともに、監禁された子供の位置、首謀者の配置、警備の有無など情報を持ち帰る。
エストの見解は「早急に子供たちの解放と保護、施設の制圧、首謀者を捕縛するべき」だった。
このときエスト名義にて、各個人ギルドと職業組合に救助・制圧の協力要請を発信。
同日夜、魔術師組合に関係者集合。
エストの見取り図により、各分担を振り分ける。
234/02/06
制圧参加者は、個人ギルドがサンテラス、ルシエル、星のしずく。
職業組合は、魔術師、剣士、冒険者、盗賊。
ベースはレクナー魔術師組合の前庭に構え、治療の心得のあるものは半数が前線に、残りは待機。
魔術師は十数名で転移門を維持。残りは前線に出て、要救助者の転位及び施設制圧。
盗賊・冒険者組合が進路・退路の確保及び、救助時のサポート。
剣士・個人ギルドが救助を最優先に、施設の殲滅にあたる。
以上を各自役割とし、夜半制圧に乗り出す。
昼半ばまで戦闘は続き、施設側死者多数、制圧側負傷者多数にて決着。
クレイグ・ユークリッドは抵抗及び禁呪の詠唱の為、殺害。
マーリアは自害を決行した。
被験者のうち生存者は8名だった。
・その他
施設は徹底的に破壊、実験資料も同様、名簿と一部を除き回収後に焼却済。
実験内容及び子供たちの遺体は凄惨を極めたとだけ記す。
・推察
以下個人的推察となる。
施設に遺された資料、被害者の証言から、今回限りの事件だったとは思えない。
50年ほど前にストラル・ククロル両大陸にて原因不明の失踪事件が起こっている。
また、不審な遺体が各地で見つかることもあった。
特に2年前ストラルで起こった大規模な魔術暴走事件には不審な点が幾つかある
この時の関係者にクレイグ・ユークリッドの名があったことも。
また騎士団の発言から、一部貴族などの有力者及び、魔術師組合、神殿関係者が背後についていたと推測される。
今後事件全容が明らかになるにつれ被害者は増え、また首謀者が組合所属だということで、疑惑が向けられるだろう。
それを解明するのが、我ら魔術師組合の、犠牲者に対する償いのひとつだ。