絵描きさんの進化録がとても羨ましかったのと、Twitterで物書き進化録企画してくれた方がいらしたので。
03年以前は手書きなので手打ちし直したけど、WEB用に改行を加えたことと誤字修正以外はあえて当時のままです。
いつごろ書いたか、タイトルの順で、( )の中は、どこに公開したかもしくは未公開かの種類。
抜粋箇所はなるべく冒頭。ただしあまりにも中途半端なものは等はそれ以外から引っ張っています。
また、一部二次創作含まれてます!データ化してあるのがそれくらいだった……。
登録させていただきました→物書き進化録リンク集様(桐原さくも様)
・2000年 - 精霊石と魔法使い(部誌)
文芸部所属でその部誌に掲載。これ以前にも書き散らしてるけど、カタチとして終わらせたはじめての話。
とはいえ、まだまだ旅は続く形式なので、終わってないんですが……。この話を原型に、今の創作世界が存在してます。
ひらがな多い上に会話文8割で進行、三人称スタート→一人称 と視点が途中でブレてるんだよね……。
----------------------------------------
「ったくリーズのやつ、すぐ俺におしつける。しかもものすごく遠いじゃないか。
・・・えっ、なんだこの音は。人かな?」
ファインは近づいていったが・・・。
「わっ、お前何者だ!」
「そっちこそなに。いきなり出てきたのはそっちでしょ。それに、ふつうきくほうがなのるんじゃなくて。
まぁいいけど、わたしは、風の魔法使いのシーラ。で、あんたはなんて名前なの?」
「俺は火の魔法使いのファインだ。ところでおまえはこんなとことにいるわけ?」
・2001年 - トレジャー(部誌)
文芸部所属時代。書いた記憶が〆切やばいくらいしか記憶にない……。
相変わらずひらがな多いけれど、最後まで一人称視点ぶれなかったけど、「〜でした」「〜だ」とか漢数字と数字が混じってる。
今と見返してみるとめちゃくちゃ面白いですね、癖がかわってない。あと出たフレイ!(2020/05/14追記)
----------------------------------------
僕が、あの人とはじめてであったのは、二年前の夏の終わりでした。
あの日、河原で魚をとっていた僕は、夕日がしずんでいくのを見て、いそいで家に向かった。
村の門をくぐり、中央広場に来ると1人の男が近寄ってきた。
「どうしたんですか?」
僕がたずねると、
「この村の宿に案内してほしいんだ。たのめるか?」
「うん。宿は、僕の家だよ。それと、おじさん冒険者だよね」
男は、笑っていった。
「おじさんっていうのはやめてくれ。俺はまだ19だ。それと、冒険者ってのは、あたりなんだろうな」
「そうなんだ・・・」
冒険者は、各地の魔物を対峙したり、宝をさがしたりといろいろなことをして、その仕事で得た金で生活している。
「ところで、お前の名は? 俺は、フレイだ。よしくな」
「僕は、リンシャーです。じゃあ、案内するのでついてきてください」
僕たちは、宿に向かって歩き出した。
・2002年 - 月のしずく(部誌)
同上。これよりちょっと早く1本書いてるけど原稿紛失。そっちは、現代舞台でサンタさんとおんなのこのお話。
月のしずくは、精霊石〜関係とかいう隠し設定があったはず。
一年後に改稿してWEB公開かけてましたが、出発→ENDまでの展開早い、突っ込まれたよ。
----------------------------------------
俺は、アール・テッド。犯罪以外の依頼を受けてそれをこなす、なんでも屋をしている。
今日も依頼を受けるため、公園にきている。12時に公園の東ゲートで待ち合わせのはずなのだが・・・遅すぎる。悪戯だろうか?
1時を告げる鐘の音が、ここまで聞こえてくる。
「来ないんだけど・・・帰っていいか・・・」
ぼーっとしながらはや1時間。この公園で待っている。
もう少し待つべきか否か・・・。すごく悩む。
ふと、空をみあげてみる。今日もすごくいい天気だ。よく考えれば、空を見上げるなんて久しぶりのことだ。
最近は依頼をうけてばっかりで、空を見上げることはなかった。
あと1時間だけまとう。あと1時間だけ。
・2003年2月 - それぞれの探しモノ(旧サイト)
HP作りたい→なにか作品展示しなきゃ みたいなかたちで書いたおはなし。当然未完結……。
プロット甘いよねと言われて、これ以降そもそも作ってなかったプロット意識しはじめる。
----------------------------------------
大地の国 ガイア。
緑豊かなその国は大陸の南方に位置する。他国と比べ年中暖かく広大な国土の約五分の一は、森だ。
他国との関係がまだ良かった時代には、この地方にだけ育つ植物や果物を売っていたこともあった。
その国も今は真夜中。
夏の夜空に浮かぶ二つの月が、ガイアの街や村を蒼く照らしていた。
大きな雲の影が、ゆっくりと大地を流れていく。
真夜中。
それは、世界が眠る時間。
昼間、世界を支配する者達が眠りにつき、夜に属する者達が活動する時間。
人の街では、起きている者はほとんどいない。それは、国の政治の中心地である王都でも、例外ではない。
昼間人で賑わう大通りも、時折巡回中の警備隊の姿を見かけるだけで、あとは誰も通ることはなかった。
月はゆっくりと傾いていき、どこかの家には明かりが灯る。
街を見下ろすことのできる丘の上に、大きな建物はあった。その建物は、高く頑丈な塀に囲まれていた。
あと数刻で太陽が昇るという頃……。
その塀の上に、一人の少年が姿を現した。
腰まである銀髪を一つに束ねた少年は、塀の上から誰もいないことを確認すると、ためらうことなく飛び降りる。
トンッ、という小さな音を立てて、彼は無事着地した。
少年は立ち上がりながら、高価そうな服の左裾をはらうようなしぐさをして、紫の瞳であたりを見回した。
そして、丘を一気に駆け下りた。
・2004年5月頃 - 銀色の竜(旧サイト版)
今公開してるのは改稿Verで、これはその原型。
手を入れてもあまりかわらない。童話調で書きたいなと思ったはずのお話。
----------------------------------------
窓際に置かれた椅子に、その老人は腰掛けていた。
真っ白に染まった髪と顔に刻まれた深い皺は、彼の生きてきた年月の証でもある。
先ほどまで降っていた雨のおかげか、今日の月はいつものものよりも数段美しく見えた。
月はほぼ真円に近く、柔らかな青い光を地上に降り注いでいる。
澄んだ夜空には、漆黒の布に散りばめらた宝石の様な色とりどりに瞬く星々。
その老人の表情はどこか淋しげで、その瞳はじっと夜空に浮かぶ月を眺めていた。
「おじいちゃん」
可愛らしい声がして、老人は視線をすぐそばに戻した。
老人の傍らに同じ顔で同じ柄のパジャマを着た二人の子供が立っていた。
いや、よく見ると微妙に顔は違うのだが、二人を見分けることができる人間は少ない。
二人とも今年で四歳になる、明るい金色の髪に老人と同じ深い蒼の瞳を持った可愛らしい女の子だ。
「どうかしたのかな?」
老人は優しく尋ねた。
彼女たちは互いに肘で突付き合い、やがて二人一緒に口を開いた。
「あのね、寝る前にお話してほしいの」
二人の言葉に、老人は蒼い瞳を優しく細め、
「あぁ、いいよ。それじゃあ、先に部屋に行っておくれ」
そう告げた。その言葉に少女たちはうなずくと、嬉しそうに自分達の部屋に向って行った。
老人はもう一度夜空を仰ぐ。
眩しそうに目を細めて月を見ると、彼は自分の可愛い孫たちの部屋へ向った。
・2005年12月頃 -
伝わらない言葉(Pixiv)
二次創作です。天地創造アンソロジー寄稿用。05年はほとんどの時間をコレに使っていました。
会話より地の文大好きになってきた頃。
----------------------------------------
――― そう、彼は知らなかったのだ……。
Side The bird...
穏やかな陽射しのなか、彼は翼に風を受け大空を漂っていた。
眼下には美しい緑が広がり、その遥か彼方には綺麗な蒼が見えている。
途中すれ違う仲間とは短い言葉を交わし、彼は大空を漂い続ける。
初めて空を飛んだ時のことはよく覚えていた。
両親と仲間たちに見守られ、幼い彼は必死に翼を動かしていた。
「今だ」という父の合図に、吹きつける風を翼で受け、そして力いっぱい大地を蹴った。
ふわりと宙に浮く体。
両親と仲間たちが彼を見上げている姿が目に入り、そして自分は今空を飛んでいるのだと気が付く。
上空から見る故郷の姿は、彼がそれまで目にしたどんな物よりも遥かに美しく、そしてとてもとても綺麗だった。
彼が地上に戻ると、両親や仲間たちはまるで自分の事のように喜んでくれた。
彼は空高くから見る地上の様子が好きだった。風を切って空を飛ぶことが大好きだった。
風は心地よく、景色は美しく、そしてその時のことを思い出すから。
・2006年6月頃 - 幻想水滸伝の二次創作
05年は完全に 二次創作>一次創作 でした。あとMMO>創作 でしたね。
サイト用に書いてたけどなんだかんだで公開しなかったお話。
----------------------------------------
真夜中の、誰もいないホール。
そこに、闇に溶け込むような漆黒の髪の少年はたった一人、ポツリと立っていた。
普段ならば石版守をしている風使いも今はもう自室に戻ったのだろうか、姿はなく。
日のある間は喧騒で賑わうその場所は、しんとしている。
灰色の石版に刻まれるのは、城に集う者達の名。
そこには、少年が良く知っている者の名もあれば、初めて見る名もあった。
だがそこに、少年の名は刻まれてはいない。
かつて彼の名が刻まれていた場所には、別の名があった。
「天魁星 リュオ」
指先でそっとその名を辿り、少年はポツリと呟いた。
その場所には、かつてはこう刻まれていた。
―――天魁星 ティル、と。
少年の――ティル・マクドールという名が石版に刻まれていたその時。
今の天魁星の少年と同じく、彼も一軍を率いていたのだ。
・2007年12月頃 - 真夜中の怪盗(未公開)
お蔵入りしてるもの。相変わらず地の文スキーでダッシュ使うのがお気に入りだった。
----------------------------------------
初めてダナが彼と出会ったのは、秋の真夜中。ダナが十四歳の時だった。
その日、ダナははっと目を覚ました。
ベッドから見える空は、まだ薄暗い。細くなった月には雲がかかっていた。
しんとした部屋の中に、彼女の息遣いが聞こえる。まるでこの『家』には、この世界にはダナ以外誰もいないような、そんな気分になった。
段階を追って明るくなりつつある空を眺めて、ダナはそっと息を吐いた。そして、毛布をぎゅっと握りしめる。寒くはないはずなのに、体が震えていた。
夜明けまで、時間はたっぷりありそうだ。
彼女は、またいつもの夢を見ていた。
夢の中で、彼女は深い森にいた。薄暗く、不気味な鴉の鳴き声が聞こえる中を、たった一人でダナは歩いていた。
木々の間から僅かに覗く空はどんよりとしていて、今にも泣き出しそうだった。歩いても歩いても森の外に出ることはできず、同じ場所をぐるぐると回る。
やがて、茂みから伸びてきた黒い影に足首を捕まれ、ダナはどこかに引きずり込まれそうになる。
――助けて。
そう叫んだところで――ダナはいつも目を覚ましていた。
思い出すだけでも怖い。けれど、父親に話すことは出来なかった。彼女は、これ以上彼らに迷惑を掛けたくなかった……。
・2008年 - はじまりのお話(未公開)
精霊石と〜が原型。句読点とか多いのは手癖のようなものなんだろうなぁ。
----------------------------------------
「彼女はとても寂しがり屋なんだ。それを隠して明るく振る舞っているけど、たぶん、君と似ていると思うよ」
寂しがり屋で意地っ張りで。
正しいと信じたことは曲げずにいる。
「両親と死別して、その上面識のない男に引き取られて、よくもまあ、まっすぐに育ったものだと思うよ」
少女の育ての親はにこりと笑うと、彼の頭をくしゃりとなでた。
「私の名はリーズ。今はまだ無理かもしれないけど、君にその気があるのなら、いつでもおいでなさい。私は君のことを歓迎しよう」
それは遠い日の記憶。
男が告げたリーズという名と、語ってくれた少女の話を、ファインは片時も忘れたことはなかった。
家ではいつもひとりぼっちで、家人と言葉を交わしたことも、外へ出た記憶もほとんどなかった。
家人たちはファインの赤い瞳と髪を疎み、視線すらあわせず、彼をいないものとして扱った。
唯一の例外は年の離れた義兄で、彼はいつもファインを気遣い、真夜中や、住人たちが家を空けるその隙に、彼をそっと外に連れ出してくれた。
元々は物置だったのだろう、狭い屋根裏部屋にクッションを運び、読み書きの練習用にと本を贈ってくれたのも義兄だった。
義兄からそれを告げられたとき、対して驚きはしなかった。
真夜中だった。天窓をあけ、青白い二つ月を眺めていると、義兄に名を呼ばれた。
彼は階段を上りきると、いつになく真面目な声で「逃げろ」と短く言った。
・2009年 - 檻(未公開)
これ関係が5本くらい眠ってる。本当に「」の会話が少なくてほぼ地の文オンリー。
語尾「〜だ」「〜なのだ」で終わらせるのがブームだった頃のお話。
----------------------------------------
放たれた矢に、体は咄嗟に動いた。
矢は彼ではなく、その斜め後方に立つ女に向かう。
そう理解するより早く駆け出し、女を力いっぱい突き飛ばした。
彼女が勢いによろめき石畳に倒れたのを確認すると同時に深々と矢はレナートの肩を貫き、彼もまた石畳に倒れ伏したのだった。
すぐさま警備兵が駆け寄り、彼を押さえつける。
両手を縛りあげ、猿轡をかませ自由を奪う。
矢には何かが塗られていたのか、意識が次第に混濁しいき、そしてレナートは気を失った。
レナートが最初に取り戻したのは聴覚だった。
少し離れた場所から誰かの声が届き、それからふっと意識が浮上し、レナートは目を開けたのだった。
ふかふかといい匂いのするベッドに彼は横たわっていた。
薄暗いと思ったのはカーテンを閉めきっているからだと、ぼんやり思う。
起きあがろうとして、耳ざわりな音が聞こえた。左手を持ち上げれば手首に銀の輪がはまり、そこから同じ色の鎖が頭上へのびていた。
「おめざめかい」
いつのまにか話し声がきこえなくなり、かわりに男がそばにたっていた。
・2010年12月 - その手に剣を(WEB)
最新を持ってくるのは卑怯だ! と思いつつ。地の文スキーは引き続く……。
----------------------------------------
乗っていた馬車が魔獣に襲われて。
ああ自分たちはここで死ぬんだと思ったとき、騎士たちが助けてくれた。
統率された動きで魔物を切り裂いて、庇うようにして立つその大きな背中、風にはためくマントと光る切先。
その姿を見ていつか自分もその握った剣で誰かを守りたいと、そう思った。
ウチは慎ましい生活を送るには困らない程度の稼ぎはあったけど、正直言って贅沢できるような余裕はなかった。
基礎学校だけはなんとか通わせてもらったけど、騎士学校に行ける程、お金があるわけじゃなかった。
だからどうしたかっていうと、奨学生を目指したんだ。
なんとか奨学生として騎士学校に通えることになった時は、おれだけじゃなくって家族もみんな喜んでくれた。
座学は最初読み書きに苦労したけど、教養科目も楽しかった。実践訓練なんてもっと楽しかった。
今すぐに夢を叶える役に立ちそうにもなかったけど、いつか、役立つかもしれないと思ったからこそ、必死に取り組んだ。
入学して五年が経って、騎士に叙任されて。
やっと夢が叶ったのだと思った。
あの時の騎士たちのように、次は自分が誰かを守るために剣を取るのだと。
↓ここから2020年6月1日に追記したもの↓
・2011年12月 - 悪戯好きに捧げる(天地創造/Pixiv)
同人誌用に書いてた話。インテに!間に合わせたかったんです!
----------------------------------------
あちこちからスープだとかパンの焼ける香ばしい香りが風に乗って流れてきて家々に明かりが灯る頃。
ガイアストーンがかげりはじめ、あたりが薄暗くなりはじめればもう遊びの時間は終わりだった。
「また明日!」
村を駆け回っていたこどもたちは、そんな風に挨拶をしてそれぞれの家へ帰って行く。そんな彼らの後ろ姿を見送るのは、決まってアークの役目だった。
薄闇に消えてゆく友人らを見送って、ひとり、クリスタルホルムの村を歩いて家へ帰るのだ。
それもほんの小さな頃の話だったけれど。
アークは両親の顔を覚えていなかった。
「どんな人だったの?」
幼い頃アークが大人にそう問えば、美人で気だての良い女と、しっかり者で頼りになる若者だったと、誰もが口々にそういった。
元々体の弱かったという母は、アークを生んで程なく風邪をこじらせた。そして父親は、愛する妻の後を追うように不慮の事故で亡くなったという。
姿絵もなにも残っておらず、大人たちの話からその姿を想像するばかりだった。
身寄りのない彼を引き取り育てたのは村の長老で、アークの物心つく前から面倒を見てくれた。
まるで本当の家族のように、アークのために部屋を用意し、村長の家の大人たちは彼をたいそうかわいがってくれて、生活に不自由を覚えたこともなかった。
後になって思い返せば幸せなこども時代だったけれど、ただなんとなく、両親がいたらどんな風だったのだろうと、小さい頃は思っていたのだった。
・2012年12月 -
----------------------------------------
・2013年12月 - おはようからおやすみまで(RO/自サイト)
発行は14年なんですけど原稿は11〜12月でした。ROです!
----------------------------------------
「おはよう」
と、ユノーが声をかけるとベンチに座っていた赤毛のウォーロックは心底待ちくたびれたという顔で、
「おはよう」
と、返してくる。
お互いが吐き出す息は白く染まる程。
日中は人で賑わうプロンテラの街も、真冬のしかも早朝となれば人影も少ない。
現に精算広場から見える人影は、商売熱心な商人たちくらいだ。
太陽はつい先ほど登り始めたばかりで、その恩恵に与れるにはまだまだ時間が掛かりそうだった。
「イルト、用意はいい?」
腰のポーチからブルージェムストーンを取り出して、ユノーはそう告げる。
「いつでも!」
イルトと呼ばれたウォーロックは、にやりと笑ってみせると立ち上がり、傍らに立て掛けていたクリムゾンスタッフを手にとった。
「目指せ記録更新」
いつもの合言葉と共に拳を軽くぶつけると、名も無き島へ続く桟橋へのワープポータルを開いた。
・2014年7月24日 - 紅蓮祭(FF14/未公開)
TwitterのどっかにUPした記憶はあるんですが……。蒼天前です。
----------------------------------------
夜空にぱっと大輪の花が咲き、少し遅れて音が届いた。
花火のよく見える海沿いには、リムサ・ロミンサの住人や冒険者たちの姿で溢れ、花火が打ち上げられるたびに歓声があがった。
アリステルもその一人だ。
最前線を陣取り(なにせララフェルなので後ろではよく見えないのだ)、
自分とリリィベルが人に押し潰されないようにだけ気をつけながら身を乗り出して花火に見入っていた。
アリステルが知る限り、彼は花火を見るのがはじめてだ。
知識としては知っていたが、なにせ一番古い記憶が五年と少し前のあの日なのだ。あれからこっち、師に師事し知識を得るのに必死だったし、
アリステルにとっては「夜空」と「火」の組み合わせが禍々しいあの日を思い出し、自然と忌避していた。
「もっと早く来ていたら良かったのにね」
傍らのリリィベルにそう言いながらもったいないことをしたと後悔する。禍々しさとは真逆の光景に自然と笑みが溢れる。
やがて祭りの終わりも近づき、ひときわ盛大な花火が打ち上がり。人々がいなくなってもその場を離れがたくとどまり続けた。
「来年も見たいね」
と、星の綺麗な夜空を見上げてアリステルはそうこぼした。
・2015年8月12日 - 二度目の紅蓮祭(FF14/未公開)
TwitterのどっかにUPした記憶はあるんです!!! 蒼天クリア後なので色々思うところがある。
----------------------------------------
冒険者を名乗るようになってから二度目の夏が来た。
今年も紅蓮祭がやってきて、花火が打ち上げられるのだ。
アリステルは昨年と同じマーケットと巴術ギルドをつなぐ橋の上にやってきて、その光景を見ていた。
夜空に浮かぶ火の花はやはりおちつかないものがったけれど、夜空に散っていく大輪の花に周囲から歓声が上がりその綺麗さに気づけば魅入っていた。
「今年も見れたね」
傍らのフェアリー・リリィベルに笑いかけながら昨年の約束を思い出していた。
来年もまた一緒に見ようと話していたことを。
・2016年8月 -君と僕の帰る場所(FF14/同人誌)
このあたりからずっとFF14のターン!
----------------------------------------
探検手帳を埋めたいと言い出したのはディルの影身――0フレイだった。
基本的に面倒くさがり屋のディルの探検手帳はほとんどが空欄だった。
たまたま立ち寄った時に条件が合わなければ、そのまま放置。
特に暑いのは苦手だからと滅多に足を踏み入れないザナラーン地方などひとつも埋まっていない。
それを繰り返した結果が、白紙の手帳である。
「どうせなら、君と一緒に旅がしたい」
そうフレイは訴えた。
離れていた時間が長すぎるから、だから取り戻したいのだと暗に示し、断ろうとしたディルを見つめる様があんまりにも可愛くて、
「ザナラーン以外なら、いいよ」
そう折れるしかなかった。
『陽光を受けると泉の水が輝いて、庭園は荘巌な空気に満ちる。そんな光景を見れば、不信心なヤツだって、祈りを捧げたくなるだろう』
天候の条件が近そうだとフレイが選んだのは東部森林のどこかにあるこの場所だった。
まだ薄暗い森を駆けるために、慣れた動作でチョコボに騎乗する。それにならってディルも愛チョコボに騎乗し、行くかと走り始めた。
「思えば、君とこうして一緒に旅をするのが夢でした」
「うん」
「いつだって君は僕の声を聞いてくれなかったし……だから今はとても幸せです」
はにかみながら、フレイはそう吐露した。
・2017年12月 -
----------------------------------------
・2018年12月 -
----------------------------------------
・2019年12月 -夜明け(イース9/Pixiv)
ワンドロ企画に参加した分。熱中したのでこのあたりだいたいイースしか書いてない。
----------------------------------------
白み始めた空が美しい朝だった。
長いながい夜が、ようやっと明けたのだ。
目覚めた女はそっと寝台を降りた。
黒く長い髪を軽くまとめ、身支度を整えて、あてがわれた部屋を後にする。
あの激戦の後、ダンデリオンに戻った元怪人の面々は、地下での小さな祝勝会の後の後早々に夢の中に沈んだ。
なにせ満身創痍だったのだ、興奮が過ぎれば疲労は眠りを誘う。
祝勝会は後日盛大に行われる予定だった。
もちろん、次にいつ見れるかわからない祭が気になって仕方がないアドルや、酒が飲み足りないクレドはそのまま街に繰り出して行ったのだが……。
戦勝記念祭に浮かれた人々で大入だった店内も、今やしんとしていて、誰も目覚める気配のないダンデリオンを後にした。
何度繰り返しても祭の翌朝は変わらないものだと、かつて聖女と呼ばれたアプリリスは思う。
人々で賑わっていたはずの通りに人影はまばらで、清掃人たちがちらかったごみを拾い集めている。
もう数時間すれば街は目覚めいつもの賑わいを取り戻すのだろう。
ながいながい夜がようやっと、終わったのだ。
いつもならば、なんとかあの夜を越えることができた……と疲れたまま見上げる空がとても美しかった。
濃い蒼からグラデーションを描き白へ染まる空も、もう少しで青を取り戻す。
もう、あの夜で誰かを喪うことはないのだ。
・2020年4月 -届かない手紙と、白の祝福(イース9/Pixiv)
ワンドロ時間オーバー分。まだイースを書いている。
----------------------------------------
これは届かない手紙だった。
何せ宛先は風のゆくまま気の向くまま冒険を続けているかの冒険家赤毛のアドル・クリスティンだ。
彼に届けられそうな配達人とは残念ながら伝手がなかった。
それでもペンを取らずにはいられなかった。
『アドル君は元気かしら?
こんにちは、ユファよ。こっちはみんな元気にしている。アドル君は今もどこかで冒険をしているのかしら?
もしかしてクレド君と出会ってたりして?(彼ってばあの後すぐどこかに旅立ったようだしね)
手紙を書くって思ったよりも難しいわね』
そう書き綴ったはいいものの、その先をどうしようかとペン先が乾くほどユファは思考する。
あの忘れ難い日々から幾度も季節が巡った。
バルドゥークは、あの頃に比べれば随分落ち着いたように思う。
パークス――バルドゥーク総督リンドハイム枢機卿は可能な限り、バルドゥークの不利にならないよう計らってくれたようだし、
星刻騎士団も罪を償うかのようにロムン軍と自警団たちと協力し街の平和の為に尽力してくれている。
ダンデリオンは今や『バルドゥークに行くならばあの店だ』と遠い街で言われるまでに繁盛し、
シャンテやユファたちは忙しくも楽しい日々を過ごしていた。
『キリシャちゃんのお店も今度また支店を出すそうなの』
仕入れや商談で出張と称して各地を飛び回る彼女は、
「目が回りそうです」
といいながらもとても楽しそうだし、店のある街区も随分賑わいを取り戻していた。
いきいきと働く彼女の笑顔はそれこそ花のようだ。
アネモナはあの骨董品屋で。
アプリリスは農耕区のはずれの静かな場所で、それぞれ平穏な日々を送っている。
二人が並んで歩いているととても目立つので、対外的には血縁者ということにしているけれど、
当人たちがとても不思議そうにするのは傍目からみて面白くもあった。
正直いうとあんまり成長してないんでね? というのが感想。
〜02年くらいまでと、03年〜に関しては成長したと思いたいけれど……。
あと〜04までとそれ以降で、セリフ重視から地の文重視に変わってる。
そして05−06年は本当に二次創作ばっかりしてたよー、今は半々くらい?
他の方がUPしてるの読みに行って黒歴史のダメージ癒してくる……。